〈MH〉夏を先取り、金峰山
山梨県と長野県の県境に位置する名峰、「金峰山」(きんぷさん)。
標高2595mの百名山です。
この山には王道の登山ルートの他に、
"お勝手口"とも言える比較的楽なルートがあり、
当然、僕とパタゴニ男は、そちらを選ぶにやぶさかでない訳です。
ただし、同じ考えのハイカーが多く、
駐車場が早々に埋まることが予想されたので、
深夜に地元発、3時過ぎに"大弛峠"到着、4時出発という、
ノースリープ突撃作戦(=ただの徹夜)を敢行しました。
結果的にそれは正解でした
(始めから路肩でいいやという人は気にすることはないと思いますが、
かなり下の方まで路肩駐車が続いてました。登山口まで登山を強いられます)。
…………
薄暗い朝靄の中、誰とも会わずに2.5時間の道程をゆく僕ら2人。
水分をたくさん含んだ靄はひんやり冷たくて、正直寒かった。
とても6月に思えないほどでした。
陽が出てもその状態はしばらく変わらず、いやーな予感が走る。
前々回の茅ヶ岳の記憶が蘇りました。
今回も八つ当たりの矛先は早めに決めておこう。
「もしも今回も晴れなかったら……!!」(私)
「な、なんで俺を見るんすか!?」(パタゴニ男)
…………
が!
山頂まであと15分ぐらいという稜線で、
サァーッと音を立てるようにして白いカーテンが上がり、
青い空が顔をのぞかせる。
「俺達の夏が今、ここで始まった!」と手を取り合って喜ぶ2人。合計80歳。
…………
山頂付近はしぶとくガスが停滞していたけれど、
やがてそれも陽光に溶けるヴァンパイアのように霧散。
…………
山頂近くにある名物、「五丈石」を包んでいた薄靄も、
気付けばするすると南から北へ(この画像の左から右へ)流されて行き、
神秘的な石塊の全容を見せてくれました。
我先にと一番上までよじ登ろうとする人が出てくるのは、
金峰山・五丈石の定番の光景だそうです。
見た感じ、そこそこ以上にクライミングをやっていないと
完全攻略は難しいと思われます。
実物を見たら、写真で見る以上に高さと威圧感を感じることでしょう。
手がかり足がかりも少なそうです。
僕はハナから登るのは諦め、左の方の岩の上でちょっとの間寝転がってみたり。
…………
北方を見やれば、すぐ手前に城塞のような山相を持つ瑞牆山(みずがきさん)が。
その奥で雲海から力強く頭を出しているのは八ヶ岳。
ここは富士山、南アルプスなど、ほぼ全方位を眺められる展望台。
あまりの眺望の良さに最近では一番長い時間山頂にいたと思います。
食事してコーヒー飲んで喋って景色見て……。
もっとダラダラと、昼寝でもしてくれば良かったと後悔しています。
…………
昨秋の黒斑山(くろふやま)と同じく、
2000mぐらいまで車でアクセス可能で、短時間で山頂を踏める金峰山。
細かいアップダウンが多く、それなりに登り応えもありつつ、
かといって危険箇所はほとんどなく、山頂ではご褒美が待っている。
それは人気があるはずです。
ファミリー登山や、様々な習熟度の人が混ざっているグループ登山にも最適。
実際そういう人をたくさん見ました。
ただ、このコースにはわずかながら"裏口入学感"を覚えないでもありません。
次は表玄関から登ってきたいと思います。