自由業の不自由と申しましょうか……。
会社員のようなこれと決まった夏休みは僕にはありません。
毎日でも仕事はあるし、毎日が休日のようでもあります。
万事が適当な僕は、普段もちゃんと区切りを付けずに働いているから、
いくらでもダラダラ仕事ができてしまう。
これはイカン、また今年もこんな感じで夏が終わってしまう!
……と、強引に夏休みを取って出かけてきました。
仕事の都合もあり、泊まりがけでは行けない。できれば12時間ぐらいで収めたい。
で、選んだのが中央アルプス(長野県)の木曽駒ヶ岳(百名山)と宝剣岳。
この2座、3000m近い高峰なのですが、アプローチが日本一優れていて、
ロープウェーで2600mぐらいまで行けちゃうんです。
登り嫌いな僕のためにあるような山。
そんなだから、8月〜紅葉時期の土日は大勢の人出で賑わい、
それはもう大変なことになるそうです(ロープウェー2時間待ちとか)。
なので僕は平日に行くことにしましたが、
そうすると、パートナーも友人も仕事があって行けない。
ぼっちです。一人でレンタカーで行って来ました。
神奈川から往復460km。かかったお金は全部で26,000円。
現地滞在時間(山を歩いている時間+休憩時間)は4時間ちょっと。
12時間のうち大半が移動時間で、かつ結構な高額という、
無駄に威勢が良いというか、非経済的な遊び方をしてしまいましたが、悔いなし。
晴れの日に行けたというのが大きな理由ですが、
思った以上に木曽駒ヶ岳&宝剣岳が素晴らしく、登り応えもあり、
「次はもっとゆっくり、仲間を誘って来よう」と思わせてくれたから。
「最も簡単に味わえるアルプス」は伊達じゃない。
月曜なのにファミリー登山の人も、グループ登山の人も多かった。
登山中級者〜上級者も上手いことルートを工夫して歩いていたようでした。
登山ビギナーがもしここに連れてこられたら、
一発で山を好きになるんじゃないかなぁ。
アクセスと絶景は金で買える、ということですね。
ということで、山行写真を並べてみます。
カメラは防湿庫で眠ってたD7000とNikkorの18-200mm f3.5-5.6を
引っ張りだしてきました。
このレンズ、2年半ぐらい前にニコンで修理して以来、
久しぶりにがっつり使ったんじゃないかと思います。
…………
月曜朝3時に地元(神奈川)発。
中央道駒ヶ根ICを降り、
菅の台バスセンター併設の駐車場に車を停める。ここまでで約3h。
で、朝6時頃バスに乗ってロープウェー乗り場まで行く。
マイカー規制があるため、みんな必ずバスに乗り換えます。
休日はまずこのバスに乗るまでが大変らしい。
…………
バス&ロープウェーがワンセットになったチケット。
成人一人往復3,900円!
しょうがない、アクセスと絶景を金で買うのだから(笑)。
…………
バスは山道を30分走ってロープウェー駅に到着。
乗り継ぎがよく、始発と思われるロープウェーに待たずに乗れました。
定員60名。みっちり詰め込みます。6時45分頃出発。
この時間は登山客と観光客が半々ぐらいだったかな。
休日はまずこのロープウェーに……(以下略)
…………
7分で1000m上がって、はい、着いた! 千畳敷カールです。
北アルプスの涸沢カールよりスケールは小さいですが、聞きしに勝る美景。
この左側の尖った所が宝剣岳……かと思いきや、
これは「サギダルの頭」というピーク。通称「ニセ宝剣」。
僕もまんまと騙されました。
宝剣岳は右側のガスってる所です。
木曽駒ヶ岳はこの山々の奥側にいるので乗り越えて行きます。
…………
ちょっと上空はガスってるけど、天気はもちそう。
ニセ宝剣を正面に見て、向かって右側に山行開始。
千畳敷カールを横切ってから急坂を上がり、
写真の真ん中辺りの凹んでる所まで登ります。
…………
急坂に入る直前にロープウェー駅を振りかえる。
俺の、夏休みは、今、始まったッ!(ぼっちだけど)
…………
急坂を上がった所が「乗越浄土」。
ようやくその先がうっすらと見えてくる。
…………
次の瞬間、ガスがぶわっと飛ばされて……あれが、木曽駒ヶ岳!?
いや、これは前衛峰の中岳。この奥に木曽駒ヶ岳がいます。
…………
中岳を登って行く人々。夏の高山って感じ。
…………
中岳を登り切ると、第一目的地・木曽駒ヶ岳の姿が。
この光景もアルプスって感じ。かなり気持ち良くなってます。
…………
ワープしますが、木曽駒ヶ岳に到着。
ツアー客でごった返す前に着くことができ、静かな山頂で10分ほど休憩。
頂上が想像以上に広かったし、木がないのでどこでも見晴らしは最高です。
…………
西の方を見ると、2014年に噴火した御嶽山がはっきりと(写真の左側)。
右側の高い所は乗鞍岳でしょう。
…………
木曽駒ヶ岳の頂上から、来た道を振りかえる。
手前の丘が中岳。
その右奥の、ちょっとガスってる所がこれから行く宝剣岳。
…………
来た道を戻って、中岳も越えて、乗越浄土から宝剣岳へ。
完全な岩峰。いや〜、かっこいい。
…………
登山地図などにも記されていますが、
一般ハイキングルートではなく、経験者向けの岩稜帯なので、
「気軽にみんなで」って訳にはいかないので要注意です。
楽しそうにみんなで歩いてるファミリーもいましたが(笑)、
きっと両親が熟練者なのでしょう。そうあってほしい。
…………
イマイチ高度感が伝わりませんが、一寸先はノンストップ崖。
…………
宝剣岳頂上に到着。
先を見ると……だいぶギザギザしてて大変そう(汗)。
関係ないですが、かなり経験積んでそうなこの写真の老夫婦。
ザックが2人ともグレゴリーでお揃いでかっこよかった。
この2人も僕と同じ方に降りるのかなと思ったら、
乗越浄土へ引き返すルートを選択してました。
ここから先の約1時間、自分の前にはたった一人しか歩いてなかった。
みんな宝剣岳には登らないか、
登っても引き返す人が多いのでしょう。
…………
約30〜40分ほど岩の道を進む。
「あ、ここは確かに滑落死亡者や行動不能者が出るわ」と思いました。
本能的に危機を感じて集中力が出てきます。
今回はソロだということもあり、より一層慎重に、
三点支持を忘れずにアップダウンを繰り返しました。
…………
そんな岩岩した道の途中に、千畳敷カールを見下ろせる絶景スポットが。
ラピュタは本当にあったのです。
…………
人がアリのようだ。
…………
だいぶ降りたなと思ったところで約8mの垂壁登り。
写真中央右側に鎖があるのが見えるでしょうか。
これを使っても良いのですが、
手がかり足がかりが多かったので、使わずに登ってみました。
意外とすんなりと行けたことに成長を感じる僕。
というより、上で待ってる人(降りたい人)がいたので、
躊躇してる場合じゃなかっただけのことですが。
…………
ギザギザゾーンをなんとか越えて尾根道を10分も行くと、
ロープウェー駅に戻れる分岐点「極楽平」に到着。
下から見たあの「ニセ宝剣」ことサギダルの頭は通りません
(道がありません)。
今日はこの極楽平までで稜線を降りますが、
そのまま歩き続けると、百名山の空木岳(うつぎだけ)にも繋がっています。
仲間のパタゴニ男と一泊二日でいずれ縦走したいと思います。
…………
そして、10時30分。ロープウェー駅に帰還。
ほぼ同時に、千畳敷カールはガスに包まれました。
それでも続々と観光客はロープウェーで運ばれてきます。
お金と時間を使って、わざわざロープウェーで上がってみたら
曇ってて何も見えないというのはトホホ……ですよね
(下界は晴れてるだけになおのこと)。
そう思うと気の毒ですが……
自分は早め早めに行動して正解だったなと思いました。
この時点で下りのロープウェーも待ちの列ができてましたし、
「雷が発生したら運行休止の恐れあり」とか
「午後は混むので整理券発給の可能性あり」とか、
アナウンスで色々と脅されて(?)いたので、
ジュースを一本ゆっくり飲んだぐらいで
ささっとロープウェーに乗って下山。
そして、下界のロープウェー駅からバスで菅の台バスセンターに戻り、
温泉にも入らず、食事も摂らずに地元まで車を走らせました。
風呂に入ってリラックスしたり、ご飯を食べて満腹になったら、
確実に運転中に睡魔に殺られると思ったから(笑)。
緊張を解かずに帰宅の一手を選んだ甲斐あって、
中央道が渋滞する前に走り抜け、15時過ぎには帰宅。
16時から日常の業務に戻っていたという、
なんだかよくわからない一日になりましたが、
納得ずくでお金と時間を注いで、
最高の12h弾丸ぼっち夏休みを完遂できたので、
今も非常に満ち足りた思いでこれを書いています(笑)。
いっそロープウェー登山の道を極めようかな……。